エンジニアがスタートアップに転職する際に注意すべきこと

 

日系大手IT企業でエンジニアとして働いている人の中には、「将来的にはスタートアップで働いてみたい」と考える人も少なくないようです。しかし、スタートアップは一見すると華やかな世界に見えますが、気をつけておかなければならないリスクも存在するのが実情です。今回は、エンジニアがスタートアップに転職する際に注意すべきことを整理していきます。

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そもそもスタートアップとは

スタートアップとは、簡単に言えば、非連続な成長の実現を目指す企業のことを指します。スタートアップと聞くと、どうしてもIT関連企業のことを思い浮かべがちですが、IT関連に限らず、例えば農業や製造業であっても、ビジネスを立ち上げて間もない段階で、急成長市場を開拓している状況であれば、スタートアップと呼ぶことができます。スタートアップの多くは、「テクノロジーの力で世界を変革する」といったミッションを掲げており、このミッションこそがスタートアップの存在意義となっています。

年収が大幅に下がる可能性があること

既に述べたように、スタートアップは一見すると華やかな世界に見えますが、一般的な企業と比べると、独特の企業カルチャーがあり、その適応に苦労するエンジニアも少なくありません。ここでは、エンジニアがスタートアップに転職する際に注意すべきことを具体的に紹介していきます。

年収が大幅に下がる可能性があること

1つ目は、「年収が大幅に下がる可能性があること」です。大手企業と違って、ほとんどのスタートアップ企業は基本的には常に資金不足の状態にあります。勿論、メルカリなどの巨額の資金調達に成功したスタートアップで働くエンジニアであれば、上場前から相応の年収が保証されていましたが、これはかなりレアなケースです。また、スタートアップの中には、エンジニアを重視する企業カルチャーを対外的に打ち出しつつも、実際にはかなりの低年収でエンジニアを働かせているケースがあります。もちろん、本人が納得しているのなら良いですが、「搾取」に近いようなケースもあると聞きます。さらに、実際問題として、年収というのは一度下げるとなかなか簡単には上がりません。ストックオプションでカバーするような設計になっているケースもありますが、ストックオプションについても、上場しなければ「紙くず」になってしまうケースも多いので、相応の注意が必要です。甘い言葉に騙されて、今まで積み上げたキャリアを台無しにしないように気をつけるべきです。

会社が経営破綻に陥る可能性があること

2つ目は、「会社が経営破綻に陥る可能性があること」です。最近では、フィンテック企業のオリガミがメルカリに買収される事案がありました。オリガミの場合は、経営破綻の前段階で救済されましたが、不幸にも経営破綻に至るケースもあります。経営破綻した場合でも、他の職種と比較して、エンジニアは圧倒的に転職先が見つかりやすいですが、それでもやはり転職先の経営状況について出来る限り正確に把握した上で、慎重に転職を決断すべきだと思います。

受託開発に回される可能性があること

3つ目は、「受託開発に回される可能性があること」です。スタートアップの中には、自社サービスの開発を謳いつつも、実際はそのサービスがうまくいっておらず、受託で食いつないでいるケースも決して珍しくありません。勿論、受託が一概に悪いものだとは全く思いませんし、クライアントワークを通じて様々なスキルを培うことができるという側面はあると思います。しかし、自社プロダクトの開発に関わりたくて転職したのに不本意にも受託開発に回されてしまうという事態は出来れば避けたいものです。このあたりについては、社内の人に事前に話を聞く機会などを持つなどの対応策が考えられます。

エンジニア以外の業務に取り組むことになる可能性があること

4つ目は、「エンジニア以外の業務に取り組むことになる可能性があること」です。特に、シード期のスタートアップに参画した場合、業務範囲が明確にスコーピングされておらず、とにかくどんな業務でも状況次第で取り組むというスタンスが求められることが往々にしてあります。自分の経験を広げるという意味では、これは非常に有意義な出来事になる可能性があるものの、エンジニアとしてキャリアを積むことを希望していたのに気づいたらビジネス開発を3年間やり続けていたというのもキャリア設計の観点からは後悔のタネになりかねません。そのあたりについても、しっかりと事前に認識をすり合わせておくと良いでしょう。

経営陣の事業へのモチベーションが低い可能性があること

5つ目は、「経営陣の事業へのモチベーションが低い可能性があること」です。意外に思われるかもしれませんが、スタートアップの経営陣が事業への情熱を失ってしまっているケースは少なくありません。実際、メディア露出には成功しているものの、事業は鳴かず飛ばずで、「どうやってこの沈む舟から逃げ出そうか」と考えている人でいっぱいのスタートアップもあると聞きます。こういった内情は入社するまではなかなか把握できませんが、面接プロセスを通じて、「この会社は本当に大丈夫な会社なのだろうか」ということを察知することを心掛けるべきでしょう。

最後に

スタートアップへの入社を検討する際は、上記の注意点を踏まえた上で、「本当にエンジニアを大切にするカルチャーがその会社にあるのかどうか」を入社前に徹底的に確認する態度が重要です。具体的な方法としては、オンラインイベントなどに参加して、社内の雰囲気を確かめるなどが挙げられますが、とはいえ、入社しないとわからないこともやはり多いと思います。その場合は、デカルトサーチ等のプロの人材紹介会社に相談してみることを個人的にはおすすめしたいと思います。

 

【筆者プロフィール】勝木健太
1986年生まれ。幼少期7年間をシンガポールで過ごす。京都大学工学部電気電子工学科を卒業後、新卒で三菱UFJ銀行に入行。4年間の勤務後、PwCコンサルティング/有限責任監査法人トーマツを経て、フリーランスの経営コンサルタントとして独立。約1年間にわたり、大手消費財メーカー向けの新規事業/デジタルマーケティング関連プロジェクトに参画した後、大手企業のデジタル変革に向けた事業戦略の策定・実行支援に取り組むべく、株式会社And Technologiesを創業。キャリア情報サイト「FIND CAREERS」を中心に、「転職Z」「英会話教室Z」「プログラミング教室Z」等の複数の情報サイトを運営。執筆協力実績として、『未来市場(日経BP社)』『ブロックチェーン・レボリューション(ダイヤモンド社)』等がある。
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