エンジニアのキャリア戦略で重要な、T型人材という考え方

みなさん、こんにちは。皆さんはT型人材という言葉を聞いた事はありますか?

T型人材とは、ひとつの分野に深い専門性を備えつつ、その他の幅広い分野に対しても一定の知見を持ち合わせている人材の事を言います。アルファベットのTの文字の横棒をカバー範囲の広さ、縦棒を専門性の深さと見立て、その人材のスキルセットの特徴を表現しています。

T型人材の他には、一つの分野を極めた専門家であるI形人材やいわゆるダブルメジャーを持つ人材であるπ型人材などがあります。T型人材という言葉は、1980年代から使われていたと言われていますが、2010年代に入り、IT業界でも他分野を横断して業務を遂行するシーンなどで注目されるようになりました。

この言葉が広く認知されるようになったのには、デザインコンサルティングファームのIDEOの存在が大きいと言われています。IDEOはアップルコンピュータのマウスをデザインした他、数々の革新的なデザインを世に送り出してきたトップファームですが、会社の方針としてこのT型人材育成に力を入れてきたことでも知られています。

エンジニアのキャリアパスにひとつの正解はありませんが、近年注目を集めるT型人材という考え方は、キャリアパスを考える際に今後も重要になってくるため、参考として頂けますと幸いです。

T型人材となり自分の市場価値を上げる

キャリアパスにひとつの正解はなく、人の数だけ正解があるものなので、一概には言えませんが、個人の市場価値を高めるという意味では、T型人材を目指すのは非常に合理的な選択だと言えます。どの領域でもそうですが、何か一つのことを突き詰めて、その業界で100人に一人の人材になるという生き方は、過酷な競争を勝ち残らなければならず、必ずしも誰しもが出来るキャリア形成とは言えません。

ひとつの分野に特化した職人気質的なI型人材を目指すこと自体は決して悪いことではありませんが、変化の速いIT業界においては、必ずしも自分の市場価値の向上につながるとは限りません。例えば、日本ではRuby職人といった言葉がありますが、10年後もRubyの需要がある保証はどこにもありません。繰り返しますが、ひとつのことを追求することは決して悪いことではありませんが、すべての人にとって最適なキャリアとは限らないのです。

ひとつの領域で100人にひとりの人材となることが難しいと感じたら、他分野を掛け合わせて自分の市場価値を高めることがより現実的なキャリア戦略となります。例えば、あなたがアプリケーションエンジニアだったらUI/UXを少し勉強してみたり、動画編集、アド運用などを勉強してみることで、あなたの市場価値は跳ね上がります。

非専門分野について、膨大な学習コストをかける必要はありません。UI/UXや動画編集などについて、書籍を何冊か読み、その分野の専門家に学習方法の助言を求めるといった程度でも、立派なT型人材になれるのです。

IT業界でT型人材に大きな需要がある理由

それでは、何故、IT業界でT型人材の需要が大きいのでしょうか。これには多くの理由がありますが、今回は、以下の二つの側面から考えていきたいと思います。

コミュニケーション能力の向上

IT業界の求人票を見てみると、もとめられるスキルとして、ほぼ必ずコミュニケーション能力の項目が記載されています。

IT業界におけるコミュニケーション能力とは、人当たりの良さでもなければ、性格に関するものでもありません。ここで言うコミュニケーション能力とは、他業種の人達と連携して円滑に業務を遂行する能力のことであり、言い換えれば、相手起点でコミュニケーションを設計する能力のことを指します。

例えば、UI/UXについてある程度の知識がある、あるいはアド運用を少しやったことがあるといったエンジニアは、そうでないエンジニアに比べて、相手起点のコミュニケーションの粒度が上がります。相手起点のコミュニケーションの粒度が上がれば、他業種の人々との連携や業務効率は大きく向上します。募集要項に記載されている、コミュニケーション能力とは、つまり自分が一緒に仕事をすることとなる他業種の業務についてどれ程の知識があるのかといったことを意味するのです。

これは、実際の面接でも非常に効果的です。例えば、採用面接時に「私はコミュニケーション能力があります」といっても何の差別化にもなりませんが、「アド運用の経験がこれだけあるので、新規事業開発においてマーケティングチームとの連携には問題がありません。」といった方がより具体的なアピールとなります。

オフショア開発全盛期におけるエンジニアの役割の変化

昨今のIT業界では、オフショア開発が年々増加しているため。日本システムエンジニアは、開発工程だけで、人件費の安い東南アジアやインドのエンジニアと競合することは益々難しくなっています。そのため、一部のトップティアエンジニアを除いて、エンジニアリング能力だけで高報酬の求人票を出す企業はほぼ皆無です。日本のエンジニアには、エンジニアリング能力に加えて、マネージメント能力の他、近接領域に関する知見がより求められるようになってきます。

 

まずは、近しい領域を無理のないペースで学習しよう

T型人材になるのに、莫大な学習コストをかける必要はまったくありません。まずは自分の業務に近しい領域や、頻繁にやり取りする業種の中から興味を持ったものについて学習してみるのがよいでしょう。デザイナーとよくやり取りをするのなら、デザインについて学んでみるのが良いでしょうし、アプリ開発に携わっているのならばUI・UXについて学んでみるのが良いかも知れません。新規事業に携わるのならアド運用について調べれてみるのも良いかも知れません。

まずは「自分が興味を持った近接する領域について最低限の知識を身につけてみる」くらいの気持ちで始めてみるだけでも、あなたの市場価値は大きく上がることでしょう。

今回は、エンジニアのキャリアパスを考える上で重要なT型人材について紹介しました。エンジニアとしてのキャリアパスに不安があるという方の参考となれば幸いです。また、デカルトサーチ合同会社では、エンジニアの方々に向けて無料のキャリア相談を行っています。デカルトサーチのリクルーターは全員が計算工学の修士号を持つエンジニアです。13年間の知見をもとに、一人ひとり丁寧対応させていただきます。「エンジニアとしてのキャリアパスに不安がある」、「今後、どのようにして自分の市場価値を上げていけばよいのか分からない」といった方は、是非、お気軽にお問合せ下さい。

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