【プログラミング教育】子供にプログラミングを教える上で押さえておきたい6つのポイント

はじめまして、IT人材に特化した人材紹介会社デカルトサーチ合同会社のアモニック・パスカル・ヒデキです。

 

フランスで生まれ育った私は今年で来日19年目になり、現在、日本で子育てをしているのですが、大学で計算工学を専攻していたことやエンジニアの人材紹介業を営んでいることもあってか、周りの人からは「子供にどうやってプログラミングを学ばせればよいのか」といったことを質問されることが多いものです。

 

今年からプログラミング教育が小学校にて必修化されたことにより、プログラミング教育への関心はかつてないほど高まっていますが、プログラミング教育の在り方については手探り状態であり、「どのようにして学習させたらよいのか分からない」という方も多いかも知れません。

 

そこで今回は、子供にプログラミングを学ばせる上で重要なことについて紹介していきたいと思います。私は、教育の専門家ではありませんが、エンジニアの人材紹介会社を経営する一人のエンジニアの意見として参考にしていただけますと幸いです。

プログラミング教育義務化の背景

プログラミング教育が義務化されるようになった背景として、IT化の加速によるデジタルデバイド(ITリテラシーの格差による社会の分断)が挙げられます2019年「世界デジタル競争力ランキング(World Digital Competitiveness Ranking)」によると日本の世界デジタル競争力ランキングは、主要63ヵ国中23位であり、アジア太平洋地域でも14ヵ国中8位という芳しくない結果であり、90年代まではあらゆる分野において世界をリードする技術力を持っていた日本としては深刻な社会問題と言えます。

日本が今後、国際社会で再びプレゼンスを発揮するためには、国民規模でのITリテラシーの向上が求められており、今後もプログラミング教育の重要性はますます高まっていくことが予想されます。

プログラミング教育のねらいを理解して学習の軸を持つ

次に子供のプログラミング教育を考える上で、プログラミング教育のねらい、すなわちプログラミング教育によって身に付ける能力について考えたいと思います。文部科学省によると、プログラミング教育の主な狙いは、プログラミング的思考力の育成と情報活用能力を育成することとされています。

プログラミング的思考力は、「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」と定義され、情報活用能力は、「情報活用能力は情報活用の実践力」、「情報の科学的な理解」、「情報社会に参画する態度」から構成されます。

 

子供にどうプログラミングを学ばせるのかを考える上では、プログラミング的思考力と情報活用能力を養うことを主軸にして教育方針を固めていくと良いでしょう。プログラミング教育に限らず、子供の学習を考える上では、親が教育の軸を持つ事が重要です。何故プログラミング教育をするのか、プログラミング教育によってどのような能力の伸ばしたいのか、そして、それは子供の将来にとってどのような効果があるのかといったことについて常に自問自答し続けることで教育の軸が出来てくるはずです。(参考:「小学校プログラミング教育の概要」)

プログラミング教育で重要なこと

それでは、プログラミング教育の効果を最大化させるためのポイントを紹介していきたいと思います。

 

1.システム設計も全体を意識させる。

 

まず、プログラミングはシステム開発の中での立ち位置を考えてみましょう。システム開発の工程を分解すると、大きく企画、設計、プログラミング、テストといった工程に分けられます。プログラミングは、設計図を元にコンピュータ言語で記述していく作業であり、あくまでもシステム設計の一工程です。基本的にITエンジニアとして働く場合もそうでない場合も企画、設計といった工程にも従事していくことになります。

 

すでに日本ではプログラミングだけ出来ても稼げる時代ではありません。人件費の安い諸外国のエンジニアに委託した方が安く済ませられるため、プログラミング工程の海外への委託は年々増えています。お子さんが大人になる頃には、人件費の安い諸外国エンジニアに加えてAIが競合に加わるため、プログラミングという作業だけが出来る人材の価値はより一層少なくなっていきます。

プログラミングという工程は、設計図を元に記述していくだけであり、その作業自体で付加価値作ることはほとんど不可能です。プログラミングを学習させる時は、それを踏まえた上で企画や設計の工程も楽しんで学ばせることが重要です。

そのためには、企画、設計といった意識的にやらせることと言うと堅苦しいですが、例えば「どのようなロボットがあればみんながより楽しんでもらえるか」、「そのために、ロボットをどのように動かせばよいのか」といったことを考え抜くことが企画や設計の工程の基本となります。

 

2.プログラミングを裏付ける数学に興味を持たせる

次に重要なのは、システムを裏付ける数学力を身に付けることの重要性を意識することです。数学に関してはどこまで先取りして教えるかはその子次第ですが、プログラミングをやらせていて、確率の知識が必要になれば、先取して教えてみるといった具合にその子のペースに合わせて教えていくのが良いでしょう。

ロボットを使った教材などでは、座標や比較、統計といった数学的概念や条件分岐などの論理的思考を無理なく学べるものもあります。将来ITエンジニアとして働くのならば、数学力が重要になるのは言うまでもありませんが、将来お子さんがどのような職業につこうとも、プログラミングの学習が数学に興味を持つキッカケとなることは非常に価値のある学習体験であると言えます。

 

3.好奇心に基づいて学習させる

日本の教育システムには非常に優れた面が数多くあります。例えば基礎数学を網羅的に学習し情報空間における基本動作を身に付けるという意味では、日本の数学教育は非常に効率的です。一方で、受験勉強に追われていると好奇心に基づいてひとつの数学的命題を何日も考え込むといった学習は出来なくなるものです。

試験に受かるための勉強をすることは決して悪いことではありませんが、好奇心に基づいて自分の納得がいくまで試行錯誤するという経験も同様に重要です。最近は、子供の好奇心を刺激するように設計されたプログラミング教材も数多くあります。せっかく、受験勉強から離れた学習体験を提供できる機会なのですから、お子さんの好奇心をとことん許容してあげる姿勢を持つことも非常に重要です。

4.ツールを使いこなす柔軟性

日本だとひとつのツールを長く使うことが良いこととされる文化があります。これは道具を大切にする職人文化にも繋がりますし、道具を大事に使うという考えはとても素晴らしいことだと思いますが、ことIT業界に限っては、特定の言語やツールキットにのみ強いという人材は、実はあまり評価にはつながりません。

 

IT業界では、プログラミング関連のツールキットは毎年のように新しいものが出てくるので、その時の状況に応じて最適なツールを組み合わせて対応するという姿勢が重要だからです。変化の速いIT業界では、その時々の状況に合わせて最適なツールを組み合わせて使いこなす能力が重要です。せっかく買い与えた教材ないしツールを長く使ってほしいという親心はよく理解できますが、ツールはあくまでも手段です。解決する課題に合わせて最適なツールを選定するのも能力だということは子供のころから認識させることが重要です。

5.様々なテクノロジーに触れさせる

そもそも子供が社会に出る時にどのようなソフトが使われているのかを正確に予想することは不可能です。10年前にビットコインがここまで普及するようになることを予測できた人はほとんどいませんし、最近流行りのノーコード開発も数年前までは過小評価されてきました。SNSに関しても10年後どのプロットフォームが残っているかは誰にも分からないものです。プログラミング教育では、子供が実際に社会で使われているサービスやプロダクトに触れる良い機会であり、社会とのつながりを体験させてあげることができます。AIやIoTなどの最新のテクノロジーを学べる教材も数多くあるため、最新のテクノロジーが社会をどう変えていくのかといったことを肌感覚で体験する経験は、お子さんが自分の将来を考える上で貴重な体験となるでしょう。

6.その子に合わせた学習のペース

子供の好奇心に基づいてプログラミングの体験をさせてあげることは非常に重要ですが、一方で、子供の好きなプロダクトやゲームをいきなり作ろうとすると難しすぎて挫折してしまうこともあります。プログラミング教材では必ず対象年齢が記載されているので無理のないペースで進めることが重要です。とは言え、プログラミング教材の対象年齢は目安にはなるものの、すべての子供に当てはまるものではありません。小学生低学年でも非常に高度なプログラミングを行う子もいれば、学習開始から数年後に目が出るケースもあります。そもそもプログラミングの学習は、偏差値で測れるようなものではないため、周囲と比較するようなことは全く無意味です。お子さんのペースに合わせて学習を進めましょう。

最後に

如何でしたか?今回は、子供にプログラミングを教える上で押さえておきたい6つのポイントについて紹介しました。プログラミング教育は始まったばかりで、教え方に戸惑いを感じる方も多いかも知れません。私は教育者の資格があるわけではありませんが、IT人材の人材紹介会社を営むエンジニアとしての経験を元にまとめてみました。お子さんの将来を考える皆さまの参考となりましたら幸いです。

 

 

 

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