ここ最近、ビットコインを始めとする仮想通貨の価格が高騰しており、仮想通貨(暗号資産)への投資を検討するようになった、あるいは実際に買ってみたという方も増えてきたのではないでしょうか?
基本的に日本国内で仮想通貨を購入する時は、仮想通貨取引所に口座を開設して日本円で購入することになります。しかし、これまで幾度となく仮想通貨取引所はハッキング被害にあっており、2019年は上半期だけで仮想通貨のハッキング被害額は、全世界で4000億円を超える程の規模になっています。日本でもMtGOXを始めとして、コインチェック、Zaifなど多くの取引所がハッキングの被害にあっており、アセットクラスとして様々な魅力のある仮想通貨を扱うためには、相応の責任とリテラシーが必要になります。そこで今回は安全に仮想通貨を保管しておく方法について紹介したいと思います。
セキュリティレベルとユーザビリティはトレードオフ
まず初めに、あらゆるシステムを利用する際に、セキュリティとユーザビリティはトレードオフだという原則を覚えておいてください。例えば、Google Authenticatorなどによる二段階認証などを「手間がかかるから」という理由で設定しないのは論外です。多少、手間がかかったとしても相応のセキュリティレベルを維持することは仮想通貨を保有する上で必須なことなのです。
大量のビットコインを取引所で保管してはいけない
仮想通貨取引所を介して購入したビットコインを取引所などオンライン状態で保管することはNGです。これまで多数の取引所やオンラインウォレットが不正アクセスの被害にあっているように、Google Authenticatorなどを使い二要素認証を有効にしておいたとしても、取引所自体がハッキングに合ってしまえば預けていたビットコインは失われてしまいます。取引所を利用する時は、必要な時に必要な額だけに留め、長期間に渡り、大量のビットコインを保管するようなことはないようにしてください。
自分のウォレットを作ろう
そもそも、ビットコインはブロックチェーンを利用した分散化されたネットワークで稼働する決済システムとして生まれ、第三者の信頼の担保なしで、個人が資産を保有し、世界中どこでも送金できる点が革新的だったと言えます。そのため、本来、ビットコインを始めとした仮想通貨は、自分でウォレットを保有し、秘密鍵を管理するものであると言えます。
ウォレットにはオンラインウォレットとオフラインウォレットがあり、いずれも自分で秘密鍵を管理することになりますが、当然、オフラインウォレットの方がセキュリティレベルは高くなります。オンラインウォレットに入れておく分は、普段使いする分に留めておくのが良いでしょう。オンラインウォレットに入れる額は人それぞれですが、何百万も現金を入れた財布を持ち歩かないようにオンラインウォレットには大量のビットコインを入れるのは得策ではありません。
多額のビットコインの保管にはハードウェアウォレットを使用しよう
多額のビットコインを安全に保管するのに推奨されるのがハードウェアウォレットです。ハードウェアウォレットはそれ単体で盗まれたとしてもPINコードや秘密キーがない限り他人がハードウェアウォレットの中に入っているビットコインを盗むことはできません。サードパーティ製のソフトウェアもインストールできないので、コンピュータの脆弱性を利用して侵入されたり、オンライン上の挙動から盗難に合う心配はまずありません。そのため、多額のビットコインを保管する際は、ハードウェアウォレットが第一選択となります。ハードウェアウォレットからオンラインウォレットにビットコインを送金することも可能なため多少のユーザビリティは落ちるものの、セキュリティとのバランスを考えると最も現実的な保管方法です。
ハードウォレットリカバリーフレーズ
ビットコインを始めとする仮想通貨のウォレットには、設定時にリカバリーフレーズが生成されます。リカバリーフレーズとは、一連の12の単語(あるいは24語)から構成されるフレーズであり、これを保管しておくと、コンピュータが故障したり、スマホを紛失した時でも、新しい端末からビットコインのウォレットを復元することができます。おなじ単語群からなるフレーズを再現することは理論上不可能です。リカバリーフレーズをセキュアに保管することはビットコインを始めとした仮想通貨を扱う上で絶対に必要だと覚えておきましょう。
そのため、ウォレット作成時にリカバリーフレーズが生成されたら、絶対に、紙に書いて保管しておかなければなりません。PCやスマホなどのデジタルデバイスで保管しておくことは絶対にNGです。紙に書いて安全に保管しておくことでハッキングされる心配はなくなるので、セキュリティレベルは大幅にあがりますが、それでも物理的にリカバリーフレーズを盗まれてしまうリスクはあるので、リカバリーフレーズをより安全に保管する方法を紹介します。
【リカバリーフレーズの例】
あぶみ のらねこ ざいこ いぶき
せんざい かわす さんかく くるま
わびさび ちくわ ざせつ うめ
まず、12語のリカバリーフレーズを行ごとに3セットに分け、それぞれA、B、Cと振り分けます。
B.せんざい かわす さんかく くるま
C.わびさび ちくわ ざせつ うめ
【1枚目の紙】
A:あぶみ のらねこ ざいこ いぶき
B:せんざい かわす さんかく くるま
【2枚目の紙】
B:せんざい かわす さんかく くるま
C:わびさび ちくわ ざせつ うめ
【3枚目の紙】
A:あぶみ のらねこ ざいこ いぶき
C:わびさび ちくわ ざせつ うめ
まとめ
ビットコインの登場により、第三者の信用に依存することなく、誰もが自分の手で資産をインターネット上に保存することが出来るようになりました。ビットコインは供給量が制限されており、法定通貨のように中央銀行が供給量をコントロールして価値が希釈されることもありません。しかし、自分の資産を守るためには相応のリテラシーが求められます。今回まとめた方法でよりセキュアな形で保存することが真の安心につながるのです。