NFTとは何か?主要なNFTプラットフォームや最新動向を徹底解説

ChristiesでアーティストBeepleのNFT作品が75億円で落札されたりと、かなり浮世離れしたNFTアートの話題が連日飛び込んできます。これまで仮想通貨やブロックチェーン業界は、基本的にテック業界の枠組みで語られることが多かったですが、昨今のNFTブームにより、いよいよ様々な業界と横断的なプロジェクトが加速してきたと言えます。

この記事では、NFTの基礎知識や利用方法に加えて業界の動向について紹介します。

NFTとは

NFTは、Non-Fungible Tokenの略であり、直訳すると非代替性トークンとなります。NFTは、交換されることのないデータの単位であり、様々な資産のデジタル鑑定書や所有権の証明書としての役割を担います。

ブロックチェーン上に記録されたデータは、改ざんすることが非常に難しいため、かねてよりNFTとブロックチェーンとの相性の良さは指摘されており、ビットコインに色付きのタグをつけることでその固有性を証明するカラードコイン(Colored Coins)というコンセプトが最初に登場したのは2012年にまでさかのぼります。

近年、イーサリアムをはじめとするプラットフォームでNFTの規格が整備されたことで、NFTの導入が加速しました。これにより、無名のクリエイターやアーティストでも低予算で、自身の作品を世界に向けて発信できるようになりました。NFT化される資産には以下のようなものがあります。

 

【NFT】
・芸術作品
・ビデオゲーム内のアイテム(キャラクター、バーチャル通貨、武器、アバター)
・音楽
・コレクション品(時計、宝飾品、アンティークコイン、トレーディングカードなど)
・バーチャルの土地、ドメイン
・スポーツにおける象徴的な瞬間の動画
・二次流通市場が形成されやすい商品

沸騰するNFT業界

2021年初頭に、ビットコインの最高値更新やイーサリアム2.0の始動といったポジティブなニュースに追従するようにNFTも過去にないほどの盛り上がりを見せます。2021年3月22日には、Twitter創業者のジャック・ドーシー氏の出品した世界初ツイートのNFTが291万ドル(約3億1500万円)で落札されました。その後、同氏が得た販売資金は非営利団体Give Directlyに寄付されたと言います。

NFT事例
(画像:techcrunch.com

 

世界最大級のオークションハウス「クリスティーズ」の運営するオンラインショップ「First Open | Online」には、2月25日から3月11日に渡ってデジタルアーティスト・BeepleがNFTに基づいて制作したデジタルアート作品群を出展しています。

255年の歴史を誇る老舗オークションハウスのライブ視聴者は2200万人にも及んだとされ、最終的に6,935万ドル(約75億円)という値段で落札されました。

日本人でも、人気VRアーティストのせきぐちあいみ氏が出品した作品が約1,300万円で落札されるなど、様々な業界を巻き込むNFTは多方面で話題を呼んでいます。

 

NFTの作り方

NFTを発行するのに仮想通貨の知識やプログラミングの技能は必要ありません。GIFであれ画像であれ、下記に紹介するNFTプラットフォームのガイドに沿ってプロセスを進めるだけで数分でNFTを発行することができます。

ただし、NFTはそれぞれのブロックチェーンの規格に応じて発行されるため、プラットフォーム互換性は十分でありません。例えば、バイナンスのブロックチェーン上で発行されたNFTをテゾスのブロックチェーン上に移動することは技術的には不可能ではありませんが、非常に難しいのが現状です。

そのため、NFTを発行する時は自分がその将来性を期待するブロックチェーンプラットフォームを選ぶと良いでしょう。

主要なNFTプラットフォーム

次に代表的なNFTプラットフォームを紹介します。いずれもNFTの発行と売買ができる機能が用意されており、特に専門的な知識がなくても気軽に始められることが出来ます。

Opensea

OpenSeaは、代表的なNFTプラットフォームでありイーサリアム上で稼働する世界最大のNFTのマーケットプレイスを形成しています。2021年1月に約8億円だった月次取引高は、翌月2月には約100億円と急速に成長したと言います。シンプルかつ洗練されたUIで、誰でも簡単にNFTの発行と売買が出来ます。

 

Treasure Land

世界最大級の取引所Binanceの提供するBinanceブロックチェーン上で運営されるNFTプラットフォームです。Binanceの各サービスと連携しているのでバイナンスユーザーは一度チェックしてみると良いでしょう。

Rarible

Ralibleも上記2プラットフォームと並んで取引量の大きなプラットフォームです。独自のトークンであるRARIトークンは発行されており、RARIトークンの保有量に応じて、コミュニティ投票に参加する権利を得られる仕組みとなっています。NFTが二次流通市場で売買された時のロイヤリティ設定も可能で、その野心的なNFTエコノミーの取り組みに注目が集まっています。

Hic Et Nunc

Hic Et Nuncは、テゾス上で運営されるNFTプラットフォームです。近年、イーサリアムのトラフィックの混雑状況が深刻化する中で、より省エネでスケーラビリティのあるテゾスの存在感が増しています。テゾスでは、​リキッド・プルーフ・オブ・ステーク(Liquid Proof of Stake、LPoS)というコンセンサスアルゴリズムを採用しており、すでにステーキングによる報酬が得られる仕組みになっています。Hic Et Nuncはこのステーキング報酬も得られるという点で注目を集めています。

Foundation

Foundationは、イーサリアムベースのNFTプラットフォームであり、インスタグラムのように自身のページでポートフォリオを作っていくことができます。自身の世界観を表現するデジタルアーティストの中には大きな成功を収める事例も多くあります。

LINE BITMAX 「NFTマーケット」

LINEの暗号資産事業およびブロックチェーン関連事業を展開するLVCは、同社が提供する仮想通貨ウォレット「 BITMAX Wallet」内で、LINEの独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」を基盤とした「NFTマーケット」の提供を開始することを発表しました。

CoincheckNFT

国内取引所大手のCoincheckも独自のNFTプラットフォームのβ版をリリースしています。Coincheck NFTの特徴は、Coincheckの口座を持っていれば、NFTの出品・購入・保管がワンストップで可能だという点です。出品・購入のネットワーク手数料(Gas代)が無料なも売りです。NFTの売買には13種類の暗号資産が利用可能です(BTC、ETH、LSK、XRP、XEM、LTC、BCH、MONA、XLM、QTUM、BAT、IOST、ENJ)。

 

NFT関連の注目のニュース

レッドブル「テゾス」

レッドブル・レーシングは、テゾスと、テクニカル・パートナーシップ契約を結んだことが伝えられました。これにより同社のロゴにがテゾスが掲出されることになります。

テゾスとのパートナーシップについてレッドブル・ホンダの代表を務めるクリスチャン・ホーナー(Christian Horner)氏は、「テゾスはNFTの開発を通じて、我々のチームとファンとのつながりを最大限に強化してくれる。テゾスとの関係は、我々が長年求め続けてきた極めてエキサイティングなものであり、我々のファンに斬新かつユニークで、革新的なチームとのコネクションを提供するための、最高のパートナーシップになることを強く信じている」と述べています。

NBA Top ShotNFT

NBA Top Shot は、NBA選手のハイライトシーンを記録した静止画や動画をデジタルカードとして取引出来るNFTプラットフォームです。人気選手のスーパープレーは非常に高額で取引されており、先日、ルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)のサイン入りロゴマンルーキーカードが日本円に換算して約4億9000万円で落札されたことは、世界的な話題となりました。他にも、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)が2019-20シーズンのサクラメント・キングス戦で決めたワンハンドダンクシュートの動画が約2270万円で取引されるなど、大きな盛り上がりを見せています。

nanakusa OEM & NFT Consulting

NFT発行・販売・二次流通などを備えた統合型NFTマーケットプレイス『nanakusa』を運営する株式会社スマートアプリは、コンテンツ事業者向けに『nanakusa』の全ての機能をパッケージ化し提供する『nanakusa OEM & NFT Consulting』をリリースしました。大手パチンコメーカーサミー株式会社は同サービスを利用して、オリジナルNFTを販売するNFTマーケットを今夏リリースすることを発表しています。

NFTに関する議論

このように世界的なブームとなったNFTですが、一方でその長短や賛否両論を理解することも重要です。

データそのものはコピー可能

NFTを利用する上で注意が必要なのは、所有権は保存できたとしてもデータそのものはコピーが可能ということです。前述したツイッターの投稿やNBAの動画などのデータそのものはコピーが可能です。今後NFTがどのような枠組みで規制されるかによってNFTの価値は大きく左右されると言えます。レコードの音源の所有権をNFTの形で持っていたとしても、それがネット上に投稿されることは防ぐことは出来ないのです。

法規制の未整備

現在、NFTは資金決済法上の暗号資産とは認められておらず、法律上の資産としては認定されていません。

NFT保有者が事業収益を配当として得る場合は、金商法上の電子記録移転権利として扱われる可能性が生じる他、NFTの配布時には景表法上の規制対象となる可能性があります。また、NFTの売買や移転を介した資金移動が活性化すると、マネーロンダリングを防止する国際金融規制の対象となる可能性もあります。

まとめ

今回は、世界的な潮流を生んだNFTについて解説しました。NFTは、自身のクリエイティブを安価に世界に発信できる、ブロックチェーンによるデータ資産の所有権を証明することで新しい経済圏が生まれるといったメリットもありますが、まだまだ発展途上の未成熟な業界であると言えます。とは言えNFTの今後の発展は様々な業界におけるゲームチェンジを引き起こす可能性を秘めているので、注目すべきトピックであることは間違いありません。

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