毎年、各国の国際競争力を報告するIMDの2019年の世界タレントランキングにて、日本は世界63の国と地域の中で、5つ順位を落とし35位となりました。
世界タレントランキングでは、教育分野への投資、タレント(高度人材)の誘致、国内におけるタレント(高度人材)の育成という3つの項目から各国の競争力を比較しています。
言うまでもなく優秀なタレント(高度人材)を確保することはあらゆる企業の最重要課題のひとつであり、その国の国際競争力を反映しています。
世界ではスイスが1位となり、デンマーク、スウェーデンと続きました。アジア太平洋地域では、上からシンガポール(10位)、香港(15位)、台湾(20位)、韓国(33位)、日本(35位)という結果となっています。
日本の各項目をみてみると、教育分野への投資が30位、タレント(高度人材)の誘致26位、国内におけるタレント(高度人材)の備えが49位となっています。
近年、日本政府は高度人材ポイント制度の導入により、海外からのタレント(高度人材)の誘致に力を入れていますが、タレント誘致の項目の外国籍の高度人材という項目に関しては、51位という結果となりました。世界が熾烈な高度人材の獲得競争をしていることを踏まえると、まだまだこれからと言えるでしょう。
タレントの備えの項目を見てみると国際経験は最下位の63位、語学力はワースト2位とかなり厳しい結果となっています。
頭脳流出という項目においては44位。これまで、Winnyの開発者である金子勇氏が刑事告訴されたり、青色発光ダイオードを発明した中村修二氏の報奨金が2万円だったりと世界を驚愕させる技術者蔑視の社会であったことを考えると、それでも”健闘”していると言えかもしれません。
また、大学教育のレベル(51位)、高度人材の数(44位)、理系の学位保持者(42位)といった項目でも年々順位を落としています。
各国が10 以上前からSTEM教育を重視していることを考えると、今後日本はより厳しい状況になっていくことが予測されます。
IMDの世界タレントランニングでは、多くの項目において年々順位を下げている日本ですが、各項目ごとに見ることで解決すべき課題が見えてきます。
IMDではほかにも世界競争力ランキング、世界デジタル競争力ランキングを発表しています。今度、国際社会における日本の考え方を考える上でも是非、参考にしてみてください。