【連載企画】#1シリコンバレーとスタンフォード「スタンフォードの学生が描くキャリアパス」

全米屈指の名門・スタンフォード大学がシリコンバレーにおいて最も重要な大学のひとつであることは広く知られています。

スタンフォードの博士課程時にGoogleを創業したラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン、Yahoo創業者のジェリー・ヤンとデビット・ファイロなどスタンフォード大出身の起業家には枚挙にいとまがありません。

しかし「スタンフォードがどのようにしてシリコンバレーのエコシステムの一旦を担っているか」、「スタンフォードの学生はどんなキャリアを考えているのか」とったことに関しては実情が伝えられることはあまり多くありません。

そこで今回は、デカルトサーチ合同会社のリクルーターであり、スタンフォード大学でコンピューターサイエンス修士号を持つジム・マリコンド氏に、スタンフォード大学の気風やスタンフォードの学生が描くキャリアパスについて語って頂きました。

【ジム・マリコンド氏】

Wave Financial 新規事業開発マネジャー。スタンフォード大学卒(Master of Science,BS Computer Science)。米国で数多くのテック企業にてシステムエンジニアとして勤務した後、2018年よりConsenSysに参画。現在は、日米繋げながらブロックチェーン技術や分散型のアプリケーション を促進するという目的の下、Wave Financialでブロックチェーンプロジェクトを支援する傍ら、デカルトサーチ合同会社のリクルーターとして、ハイクラスな外国籍エンジニアと日系企業の橋渡しを行う。

 

スタンフォード大の学生のベンチャー志向

-スタンフォードの学生は卒業後IT業界に行く人が多いのですか?
私が学生だった90年代は、金融業界の方が人気だったのですが、今は卒業後IT業界に行く人が圧倒的に多いですね。スタンフォードでは10年程前からIT×他分野の研究を重視しており、生物学や法律を専攻していようが、ほぼすべての学生がITに関してある程度学びます。広く浅くしか勉強できないという批判もありますが、スタンフォードのIT×他分野の取り組みはそれなりの成果が出ていると思います。
-スタンフォード学生は、ベンチャー志向や起業志向は強いのですか?
スタンフォードの学生たちのスタートアップや起業に対する熱量は凄まじいものがあります。スタンフォードでは、ほぼ全員が起業家精神を持っているといっても過言ではありません。ビジネスではなく、技術や学問を追求する人もいますが、ほぼ全員が将来自分の会社を持ちたいと思っています。
「連続起業家の後にVCとして成功してやる」、「20代で上場してやる」といった強い野心を抱いており、まずは連続起業家として成功してからVCとして活躍するキャリアを描くことがメインストリームとされています。
マリッサ・メイヤーのように初期Googleに入社してから頭角を現し、エンジェルとして名を馳せた人もいるので、連続起業家として成功するのが唯一のキャリアではありませんが、いずれにせよ将来はVCやエンジェルとして影響力を持ちたいと考える人は非常に多いですね。
ただ実際は、スタートアップの生存確率は低く、全員がこのようなサクセスストーリーを描くことはできないので、多くの人は挫折したり、人生の他の要素と折り合いをつけたりします。
学生の時は壮大な野心を抱いていた人も「GAFAのような企業のPMで年収3000万円もらえればよいか」と考えるようになる人も少なくありません。エンジニアのキャリアに関しても、一生涯エンジニアリングだけをやる人は10%たらずで、多くの人は、エンジニアマネージャー、PM、コンサルタント、セールスエンジニアといった別の職種に従事することになりますし、UI/UXデザイナーになる人やYoutuberになる人など様々です。最良のキャリアパスとは人の数だけあるのかも知れません。
-学生時代に著名VCから調達することが王道のパターンなのでしょうか?
シリコンバレーでは、投資家も沢山いるので動く金額が大きく、資金調達の手段にも様々なオプションがあります。エクイティファイナンスではなくデットファイナンスから始める人も当然います。いずれにせよ、エンジェル投資家も世界中から集まるので、優秀な学生には様々な資金調達の手段が用意されています。
日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、スタンフォード関係者向けのStartXというアクセレレータープログラムがあります。StartXは、スタンフォード大の出身者たちにより設立された非営利組織で、スタンフォードの関係者に対して出資をしたり、メンタリング支援をするアクセレレーターです。非営利組織なので当然エクイティを取ることもなく、報酬も要求しません。選ばれるのはかなり難しいですが、その分StartXに選ばれたスタートアップは、一般のスタートアップに比べて成功する確率が高く、非営利組織によるエコシステムを創造したという点からも、全米で注目を集めています。

大学卒業後しばらくは、寝ずに働くスタンフォードの卒業生たち

-日本ではベンチャーやスタートアップというと ”やりがい”のためにお金を犠牲にする人も多くいますが、シリコンバレーではどうなのでしょうか?
スタンフォードの学生は、卒業後しばらくは毎日のように徹夜で働きますが、基本的に金銭的インセンティブを犠牲にするという考えはありません。スタンフォードの学生はおくとまったとこがあり、自己主張も強いた、自分を込むのが上いのです。プライドも相当いので、当然報酬の要求水準高くなります
ストックプションをうかりに低賃金で間働くこともありますが、彼らは自分が納得いかなかったらす職します。そのたやりがい搾取のようなような構図はまず見られません。インターンは一的に低賃金ですが、その分を経験や人脈作りで回収してやるという野心があります。
-スタンフォード大の新卒はどれくらいの報酬を求めるのでしょうか?
人にもよるので一概には言えませんが、スタンフォードのコンピューターサイエンスの学生は、初任給でストックオプション付きならば年収1200万円、ストックオプションなしだったら1300から1600万円くらいは貰わないと満足しないのではないでしょうか。
ただ、日本と違い物価や医療費が高いので、その点を差し引いて考える必要があります。シリコンバレーの企業は福利厚生も充実しているのですか?シリコンバレーの企業は、優秀なエンジニアに対しては3000万円以上の給料を提示こともめずらしくありません。そのため、スタンフォードのようなトップスクールの優秀な学生を確保するために、各企業は様々な福利厚生を用意します。
中には信じられないほどの福利厚生を用意するところもあります。会社のクレジットカードが与えられるほか、社員旅行の度に20万円ほどの手当てを出すところもあり、アメリカの中でも異質な場所です。
-グーグルのようなテック企業のオフィスに様々な設備が整っているのは有名ですよね?
グーグルのオフィス設備が充実しているのは日本でも有名ですね。それ自体は決して悪い事ではありませんが、実はこれには、別の側面もあるのです。過去に私は、グーグル本社に何度か訪問したことがあるのですが、グーグルのオフィスに入った時に「スタンフォードの寮と全く同じじゃないか!」驚いたものです。
当時のグーグルは、スタンフォードのキャンパスを正確に再現していました。カフェテリアのスタイル、ゲームルーム、スナックの自動販売機まで何から何までスタンフォードののそっくりの配置だったのですもちんカフェや備品のクリテはアップしています
スタンフォードの学生は、本的に24間寮で生活します。勉強や事から事、まで、生活のすべてが完結するのです。そのた24間寮で過すことにれていらがグーグル入社後に、スで24すことになるのは、いたって自ことでした。
グーグルは、オフィスでスタンフォードの寮を再現したことによって、スタンフォード大の新卒社員が自然と24時間オフィス過ごせるような空間を設計していたのです。
当然、オフィス滞在時間が長ければ、それだけ多く働きます。グーグルのオフィスでは数多くのロボットが働いていますが、エスプレッソマシーンやガジェット自動販売機の種類も豊富で、カフェテリアも至る所に用意されています。
グーグルのような企業ではそういった設備投資を惜しみません。オフィスの外のスタバに10分かけて出ていき休憩されるくらいなら、オフィス内に沢山カフェテリアを作って、ロボットに1秒でも早くエスプレッソを作らせたほうが社員の労働時間をより長く確保できるからです。これには様々な意見や推測があると思いますが、グーグルのような企業は、その分、給料や待遇も格段に良いので、働いている人は、基本的には満足している人が多い印象です。

シリコンバレーの多様なキャリアパス

-ベンチャーやスタートアップに行くことは、キャリア形成の観点からどのように思いますか?
キャリア形成に関しては、人それぞれなので一概には言えませんが、シリコンバレーのスタートアップでは、毎日20時間くらいは働くことが一般的です。ありとあらゆる業務をこなす必要があり、スキルアップも早いため、ハードワーカーにとってはキャリア形成の観点からも良いのではないでしょうか。ただ、若いうちはそのような働き方でよいかも知れませんが、結婚をしたり、子供ができると、ワークライフバランスをリバランスする必要があります。
シリコンバレーのスタートアップに対する熱量はどこから来るのでしうか?
シリコンバレーでは、子供の頃からあらゆる場面でリスクを恐れるなと吹き込まれます。シリコンバレーの若き野心家たちは、日頃から互いに「失敗を恐れるな」と励まし合っていますし、シリコンバレーの起業セミナーでは「スケートボードで転ぶのを恐れていたら上手くならない」といった類のフレーズを嫌と言う程聞かされます。
スタートアップの起業家を神のようにあがめる風潮もあり、ある種の宗教といえるかも知れません。日本の場合は、世界で一番手厚いセーフティネットがあるにも関わらず、リスクに対して少し過敏なところがあります。
もちろん、それが必ずしも悪いことではありませんが、シリコンバレーのスタートアップ起業家は、失敗したとしても、「履歴書に書かないければいいや」あるいは、「後に成功した時に苦労はなしのひとつとして美談にすればいいや」くらいのマインドでいます。それが一概に正しいかどうかは別として、比較対象として学ぶものがあるのかも知れません。
象徴的なのが2002年に破産したGeneral Magicです。General Magicは、今でも「シリコンバレーで生まれた最も重要な企業」、「最も重要な失敗をした企業」として語り草になっています。General Magicの創業メンバーにはMacの主要開発者の一人ビル・アトキンソンやAndroidの創業者アンディ・ルービンが名を連ねており、彼らの技術が後にスマートフォンや自然言語の対話システムの開発に大きく貢献したことから、結果的に破産をしたものの、今も人々の尊敬を集めているのです。

 

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