【現場のエンジニアに聞く】ブロックチェーン業界のエンジニアが読んでおきたいオススメの書籍9選

皆さん、こんにちは。近年、金融を始めとして、様々な分野で注目を集めているブロックチェーンですが、弊社デカルトサーチで扱う求人でも、ブロックチェーン関連のものは年々増え続けており、日本においても着実に成長している業界であると言えます。

一方でブロックチェーンは、様々な領域を横断する技術であるため、どの分野から、どの程度勉強すれば良いのか分からない、といった声もよく聞きます。

実際にブロックチェーン業界では、ハッシュ値やBFTといった特有の単語や概念も多く、初学者にとっては、とっつきにくい領域であるとも言えるでしょう。

そこで今回は、合同会社DMM.com テクノロジー本部ブロックチェーン研究室のリサーチャーである篠原航さんに、ブロックチェーン業界で働いている、もしくはこれから働きたいエンジニアの方にオススメの書籍9選を紹介して頂きました。

合同会社DMM.com テクノロジー・篠原航さん


合同会社DMM.com テクノロジー本部ブロックチェーン研究室リサーチャー。Webサービス企業数社でサーバーサイドの開発に従事、その後同社にて分散システムを用いた推薦システムの基盤構築、パフォーマンスチューニングや高可用性の向上に従事。現在は同研究室でブロックチェーンを中心としたリサーチ、開発をおこなう。執筆書籍に『ブロックチェーンアプリケーション開発の教科書』『試して学ぶ スマートコントラクト開発』(両マイナビ出版)

ブロックチェ―ンは、IT、金融、政治の領域を横断する新しい技術ですが、基本的には過去の技術の組み合わせと応用です。そのため、好き嫌いせずに幅広い分野を学んでいく姿勢が大切です。

また、ブロックチェーンに限らず、新しい技術が生まれるのには背景や理由があります。「ブロックチェーンが何故、生まれたのか」、「人々はブロックチェーンを使ってどのような問題を解決しようとしているのか」といった事を考えながら学習していくと、より効果的だと思います。

1.ブロックチェーンが生まれた背景を知る

【ブロックチェーン レボリューション】

定番ですが良著です。ブロックチェーンは何故生まれ、人々はブロックチェーンを使ってどんな問題を解決しようとしているのかといった流れを理解するのに役立ちます。ブロックチェーンの背景にある政治や思想についても解説されており、包括的にブロックチェーンを理解するのにオススメの一冊です。

2.貨幣と政治の歴史を振り返る

ご存知のように、ビットコインは、第三者の信用に依存しない、分散化されたネットワークによる決済を目的として作られました。そのため、ブロックチェーンは、既存の金融システムへのアンチテーゼとしての側面があり、政治的なイデオロギーを帯びています。

実際に、黎明期からブロックチェーン業界に携わっている事業者達は、多かれ少なかれ、既存の金融システムや政治に対して問題意識を持っているため、貨幣や金融の歴史を学び、背景にある政治的思想を知る事は、ブロックチェーンの本質を理解する上でとても重要です。

【21世紀の貨幣論】

若手エコノミストのフェリックス・マーティンによる処女作である本書は、賛否両論もありながらベストセラーとなりました。本書では、貨幣の歴史や信用取引の成り立ちから、ビットコインに至るまで、様々な角度から考察すると共に今後の貨幣の在り方について問いかけます。

ブロックチェーン業界では、トークンやインセンティブの適切な設計が重要になるため、この業界に携わるのならば読んでおいて損はない一冊です。

【負債論】

トマ・ピケティの資本論と共に、既存の金融システムについて考え直させる名著です。本書では、物々交換の過程から貨幣が生まれたとする通説は神話に過ぎず、人類のあらゆる経済活動は、「負債は返済しなければならない」という道徳観念によって縛られてきたというセンセーショナルな視点から、貨幣の歴史を振り返っていきます。

負債によって国際金融資本が人々を支配する構造を変えるべきと説く著者のデビット・グレーバーは、名門・LSEの人類学者でありながらアナーキストとしても知られ、数々の仮想通貨やブロックチェーンプロジェクトに多大な影響を与えてきた事でも知られています。

【帝国(グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性)】

ブロックチェーンを理解する上で政治は切り離せないものです。本書では、冷戦後、グローバライゼーションが加速した世界における秩序を、帝国とマルチチュードというキーワードで解き明かします。

帝国的管理は、人々を階層序列化しコントロールするという機能を持っており、それに対立するマルチチュードは、潜在的なレベルで触発し合う個々人の多様な力のネットワークを意味します。著書のアントニオ・ネグリはこの二つはコインの表と裏のような関係であり、21世紀の世界秩序(帝国)の中における多様性の重要性を説きます。

ブロックチェーンにおける分散システムの概念は、しばしこのマルチチュードとしての役割を期待されます。ブロックチェーンが持つイデオロギーや政治的意味を理解する上でも、とても有用な一冊と言えます。

3.ブロックチェーンエンジニアのための技術書

次に紹介するのは技術書です。ブロックチェーンエンジニアといっても、フロントエンドをやるのか、サーバーサイドをやるのか、独自のブロックチェーン自体を実装するのかでも違いますし、習熟度も人それぞれでしょうが、ブロックチェーン業界で働く上で役に立つ2冊を紹介したいと思います。

【分散システム-原理とパラダイム】

MINIXの中心的な開発者であり、ネットワークやOS設計に関しても数々の教科書を執筆している大御所タネンバウム先生による、分散システム及び、ネットワーク構築のためのバイブルともいえる一冊です。

基本的な分散技術(通信機構、プロセス構成、名前づけ方式、同期手法、一貫性、フォールトトレランシィ、セキュリティ)、分散オブジェクトベースシステム、分散ファイルシステム、分散ドキュメントベースシステムと網羅的な構成となっていますが、かなり難易度が高いので、いきなり全部理解しようとするとほとんどの人が挫折します(笑)

ブロックチェーン業界で働くエンジニア全員が読む必要があるとは言いませんが、分散システムついて原理・原則からしっかりと学びたい人にとってはとても勉強になると思います。

【ブロックチェーンアプリケーション開発の教科書】

弊著で大変恐縮ではありますが、ブロックチェーン技術を理論と実践両面から理解するための1冊です。2018年発行であるため、最新の技術に関してはカバーされていませんが、ブロックチェーンに使われている技術から、独自トークンの発行やSolidityを使った分散型アプリケーションの開発に至るまで、基本が理解できるようにまとめました。

4.ブロックチェーン後の世界を描いた2冊

これまでの歴史を振り返ってみても、新しい技術社会が生まれ、広く人々の生活に行き渡る過程において、SF小説は非常に重要な役割を果たしてきました。

科学者や技術者が、子供の頃にSF小説に触発されたという話には枚挙にいとまがありません。次に紹介するのは、ブロックチェーンが普及した世界を描いた2冊です。ブロックチェーンは人々の生活をどのように変えるのでしょうか。

【信用の新世紀】

日本のブロックチェーン業界における第一人者である斉藤賢爾氏による本書では、ブロックチェーンを始めとする技術革新により、貨幣の力が弱まり、信用が本来の姿を現す未来について描かれています。貨幣を成立させる”信用”について改めて考えさせられる一冊です。

【不思議の国のネオ】

斉藤賢爾の著書をもう一冊紹介しましょう。不思議の国のネオは、子供から大人まで楽しめるSF小説となっています。この国では、貨幣経済ではなく、社会資本(ソーシャルキャピタル)による信用経済に基づいた社会の中で人々が暮らしています。私達の生活の中で当たり前のものである貨幣のない世界を描いた本書は、これからの時代の社会の在り方について深く考えるキッカケを与えてくれます。

5.エンジニアとしての生き方を考える

最後に、ブロックチェーンに限らず、全てのエンジニアの方にオススメの一冊を紹介します。

【アプレンティスシップ パターン】

14世紀にイタリアを中心にして興ったルネッサンスにより、数々の優れた学問や芸術が生まれましたが、それらの原動力として優れたギルド(職人組合)と徒弟制度の存在がありました。

本書では、ルネッサンス時代の徒弟制度をモデルとして、エンジニアが「どのようにして成長していくべきか」、「エンジニアとしてどう生きるか」についての指南がまとめられた一冊です。

エンジニアは一人で出来る事には限界がありますし、闇雲に勉強しても評価される保証はありません。その意味でも、エンジニアとして正しく学ぶ姿勢を身に着ける事はとても大切です。技術的な内容はなく、コンパクトで読みやすくまとめられた本書は、初学者はもちろんのこと、キャリアに悩んでいる技術者が自分のキャリアを考え直すのにも有用でしょう。

如何でしたか?今回は、ブロックチェーン業界で働くエンジニアの方に読んで貰いたい書籍を紹介しました。

前述のようにブロックチェーン業界といっても様々な領域がありますし、エンジニアの方の習熟度も人それぞれです。また、全ての事を書籍で勉強する必要はありませんが、ブロックチェーンを使って、どのようなプロダクトを作り、どのようにして人々の生活を変えるのかといった事を考える上で、これらの書籍からは多くの事が学べると思います。

ブロックチェーン業界で働いている方や、これから働きたいと考えている方にとって、ご参考になりましたら幸いです。

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