インタビュー

IT業界が根底から変わる、日本人の知らないノーコードアプリの衝撃

ノーコード開発

みなさんこんにちは。今回は、近年、目覚ましい進化を遂げているノーコード開発ツールについて紹介したいと思います。

IT業界に携わる方ならAdaloBubbleといったノーコード開発ツールの名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。

ノーコード開発ツールは、今年1月、Googleがノーコード開発のプラットフォームのAppsheetを買収したことも大きな話題となりました。

ガートナーによると、世界で開発されるアプリケーションの65%がノーコードを含むローコード開発ツールで開発されるようになり、世界の75%の大企業が少なくとも3つか4つのローコード開発ツールを扱うようになると予測しています。

ノーコード開発ツールは、開発コストやスピードを劇的に向上させることから慢性的なIT人材不足を課題とする我が国でも注目が集まっています。

とは言え、日本ではノーコード開発ツールがシリアスなビジネスシーンで語られることはそう多くはなく、一部の愛好家たちの趣味の範疇を超えないものといった印象を持っている方も多いかもしれません。

しかし、近年、ノーコード開発ツールは目覚ましい進化を遂げており、それを取り巻く環境も劇的に変わっているのです。

先日、WeWorkRemotelyがノーコード開発ツールBubbleで開発されたRemote Circleというリモートワークのマッチングプラットフォームを買収しましたが、すでに世界では毎週のようにノーコードアプリのM&Aが行われています。

日本でも先日、20代の転職支援事業を展開する株式会社For A-careerがノーコード開発ツールAdaloで開発されたオンライン就活プラットフォームSPOTTOを買収したことで、日本初のノーコードアプリの買収案件として話題を集めており、今後の盛り上がりが期待されています。

そこで今回は、これまで数々のノーコードアプリを開発してきた経験があり、SPOTTOを株式会社For A-careerに売却したノーコード博士にノーコード開発ツールの持つインパクトについて語って頂きました。

ノーコード博士
ノーコード博士

連続起業家として数々の事業を売却してきた他、サイバーセキュリティの専門家として政府公的機関にて技術顧問を務める。ノーコードアプリの開発では主にAdaloを使用。SPOTTOを株式会社For A-careerに売却し、日本初ノーコードアプリ買収案件として話題を集める。Twitter:@nocodehakase

ノーコード開発ツールAdaloはここまで進化している

ノーコード開発ツールAdalo

-SPOTTOはすべてノーコード開発ツールAdaloによって作られているそうですが、Adaloはどのようなものですか?

Adaloは、ノーコードでUI/UXの優れたアプリを作れるプラットフォームです。デザインが優れていて、直感的に操作ができることが特徴であり、プログラミングをすることなくNetflixやUberのようなアプリケーションを一気通貫で開発することができます。

Adaloは、昨年末の大規模なアップデートが行われたことで、表現の幅が格段にあがりました。メッセンジャー機能が充実しており、各ユーザーの投稿をマッチングさせたり、マップを利用した表現をするような比較的な高度な設計も可能です。

ただ、QRコードやAR/VRの機能はまだなく、外部のデータを引っ張ってくる際にも別のサービスを使ってデータベースを構築する必要があるため、あらゆるアプリをすべてノーコードで開発できるわけではないのですが、基本的にみなさんが普段使っているようなアプリケーションは大体作れると思ってよいです。

-具体的にAdaloではどのようなアプリを、どれくらいのスピードで開発できるのですか?

SPOTTOの他にも、これまでに色々なアプリを作ってきましたが、スキマ時間を利用したバイトのマッチングアプリや海外送金のアプリは、数日で完成させました。フレームワーク自体は1日で完成し、その後、クライアントからのフィードバックに対する微調整に数日を要した感じです。

ノーコード開発では、コードのエラーがないので、動作確認時にエラーが出て対処する時間が省けますし、それに伴う精神的負荷も激減します。

アプリを開発するという行為は、ロジックを考える行為とコードを書く行為に分けられますが、ノーコード開発ツールを使えば、ロジックを考えるという行為により多くの時間をさけるようになります。パワポを作るような感覚で自分のアイディアをカタチにすることができるため、数倍の速度で開発が進んでいく感覚です。

Adaloのノーコードアプリ開発画面
パワーポイントを作る感覚で直感的なアプリ開発ができるAdalo
ノーコード開発ツールAdaloのテンプレート
adaloには6種類のテンプレートが用意されている

ノーコード開発アプリはIT業界をどう変えるか

ノーコ―ド開発

-ノーコード開発ツールによりIT業界の開発環境はどう変わっていくのでしょうか?

ワードプレスをイメージしてもらえると良いと思います。ワードプレスが登場した当初は、使い勝手が悪く、散々バカにされてきましたが、多くの人が気軽にホームページを作れるようになった結果、世界のホームページのほとんどがワードプレスにより作られるようになりました。ワードプレスの登場により、多くの人にホームページ制作の門戸を開いただけでなく、WEBエンジニアの作業効率も格段に上がりました。

ノーコード開発ツールは、より多くの人にアプリ開発の門戸を広げると共に、エンジニアの開発を加速させるものなのです。

また、ノーコード開発ツールは、スタートアップやベンチャー企業とは非常に相性がよいと思います。スタートアップやベンチャー企業では、プロトタイプを出して、資金調達をし、改善を繰り返すことでより良いサービスを作っていくわけですが、ノーコード開発ツールを使えば、開発期間が短くなるため、このPDCAサイクルをより早く回すことが可能になります。

開発期間が短くなるということは、ユーザーの声をいち早く取り入れて実装することができるという事を意味します。ユーザーも自分の声がサービスに反映されたら嬉しいものなので、対話が促進され、よりユーザーとの距離が近くなります。真に”ユーザードリブン”のサービスを追求するのならば、ノーコード開発ツールは非常に有用だと思います。

また、ピッチの際などに投資家からフィードバックをもらった際も、即日で軌道修正することが可能です。リリース前にプロトタイプを何度も軌道修正することは、新しいサービスの成功を左右する重要なプロセスです。実際にSPOTTOを開発した際も、リリース前のアンケート結果やヒアリングをもとに何度か軌道修正をしています。

世界ではノーコードアプリのM&A案件が続出

-ノーコード開発ツールの市場はどれくらい成長しているのですか?

世界的にみると、この一年でノーコードアプリを取り巻く環境は劇的に変わりました。インドのユニコーン企業であるSwiggyはすべてノーコードアプリで開発されていますし、先月、WeWorkRemotelyがノーコード開発ツールBubbleで開発されたRemote Circleというリモートワークのマッチングプラットフォームを買収したことも話題になりました。ノーコードアプリのM&Aの件数は今年に入って格段に増えています。

ノーコードSwiggy
https://www.swiggy.com/

これまでは、機能が充実しているわけではなかったので、少しいじってみて「ノーコードなんて所詮、こんなものか」と失望する人も多かったのですが、ここ1年で各種ノーコード開発ツールは飛躍的にアップグレードしています。

nocodefoundation

No Code Foundersというサイトがあるのですが、そこではノーコードアプリのニュースが日々更新されており、開発者たちのインタビューも掲載されています。Slackも併設されており、ノーコード開発者たちの間では活発な交流が行われています。毎日のように優れたノーコードアプリが生まれているので是非、サイトをチェックしてノーコードアプリの進捗具合を実感して頂きたいです。

-SPOTTOを株式会社For A-careerに売却した経緯について教えて頂けますか?

WEB説明会のプラットフォームSPOTTO

昨年末からAdaloで色々なアプリを作ってきたのですが、その一つに、後にSPOTTOの原案となるオンライン就職活動のプラットフォームもありました。

コロナの影響が就職業界にも本格的に到来した4月中旬に、20代の就職支援サービスを展開する株式会社For A-career CEOの浅尾さんから連絡を頂いたのですが、浅尾さんは、就職活動にオンライン化に対応しきれていない企業や学生たちの現状に課題感を持っていました。

そこでSPOTTOのプロトタイプを見せ、Adaloについて説明したところ、未曾有のコロナ禍の中で、開発スピードを重視していた浅尾さんの所望とマッチしたため、共同開発をすることとなったのです。

5月の頭にプロトタイプをリリースしたところユーザーの伸びも良く、サービスに確信を得た浅尾さんから買収の提案をして頂き、締結に至ったのです。

(参照:日本初のノーコードアプリM&A となったオンライン就活のプラットフォームSPOTTO

ノーコードアプリがキャズムを超える日

-ノーコード開発ツールは今後も普及していくのでしょうか?

現在、ノーコード開発ツールは、過大評価も過小評価もされがちな黎明期にあると言えますが、今後、間違いなく普及していきます。

先ほどお話しましたようにノーコードファウンダーズでは、各国のノーコード開発者たちが、自分の開発したアプリを見せ合い、ブラッシュアップし合っています。ノーコード開発者のコミュニティは、まだ、”ささやかな規模”ですが、このような愛好者たちによるコミュニティ活動は、イノベーションの歴史を振り返ると非常に重要な意味を持ちます。

インターネットやビットコインの黎明期もそうでしたが、少数のアーリーアダプターたちによる熱狂と献身的な活動が後のマスアダプションに繋がり、イノベーションを生む土壌となりました。

ノーコード開発ツールは、まだまだ発展途上ですが、日々、改善されており、日本でも着実にノーコード開発者は増えています。

私のエンジニア仲間やベンチャー業界の知人にノーコード開発ツールについて話すと、皆、目を輝かせて飛びつきます。その場で使い始める人も多く、日本でも”アーリーアダプター達の熱狂”はすでに始まっています。

今後も、啓蒙活動を続けると共に、ノーコードアプリをどんどん開発し、売却していくことでノーコード業界を盛り上げていきたいと思います。

ノーコード開発ツールの参考サイト

【ノーコード開発ツールAdaloの紹介動画】

ノーコード開発ツールAdaloの公式ページ

【ノーコ―ド開発ツールBubbleの紹介動画】

ノーコード開発ツールBubbleの公式ページ

日本初のノーコードアプリM&A となったオンライン就活のプラットフォームSPOTTOの記事も合わせてご覧ください。

追記:第一回ノーコードハッカソン/アイディアソン開催

ノーコードハッカソン
第1回 ノーコードハッカソン/アイディアソン

No Code Japanは、今月15日、第一回ノーコードハッカソン/アイディアソンを開催しました。

今回のノーコードハッカソンでは、開発期間が数日と限られていたとは思えないクオリティのアプリが数多く生まれました。

No Code Japan主催第一回ノーコードハッカソンの結果はこちらの記事をご参照ください。

No Code Japan主催第一回ノーコードハッカソン結果発表「アイディア着想から実現までをどれだけ短くできるのか」